探究学習記録

「思考の癖」からはじめよう

人間それぞれ後天的に身につけた「癖」があります。ルーティン化・常態化することで、たくさんの情報を処理する脳の負担を減らすなどの意味があるそうですが、この「癖」がもちろん思考そのものにも存在し、勉強する際によい方向に働く場合とそうでない場合があります。
 癖を矯正するのは、本当に大変なことですが、うまくいけば劇的にその子の能力を伸ばすことにつながります。癖を直すのは「指摘し続ける」だけでは足りません。本人の「気付き」として発見させ、自覚して修正していく必要があります。

 苦手な数学を頑張りたい中学2年生のRさんは、正確に計算ができて数字で間違えることはほとんどありません。しかし、プラスマイナスの符号でいつも迷ってしまいます。式も丁寧に書けているし、手順も問題ないけど、符号をどうするかで固まってしまう。プラスとマイナスのルールだけ聞くと答えられるのに書く時になると迷う、ここには何かしらの思考の癖があります。

 まず、自分がどういう場合にミスをするのか一緒にふりかえり、問題点を自覚してもらいます。自分の癖はどんなものであれ、他人から指摘されないと気付かないものです。たくさん問題を解き、間違え方の傾向を一緒に考えていきます。

 自覚する段階が過ぎても、すぐに解決はしません。自覚ができても直せないのが癖です。今度はそれがどういう思考プロセスからきていて、どこを修正するのか提案し、それを実際にやってもらいます。Rさんの場合はプラスマイナスを数直線上で操作すると間違えないことに気付いたので、「いつも頭に数直線」を思考の癖に加えていくようにトレーニングしています。

 このように、思考の癖は誰にでもあるし、きちんと個別に指導すれば誰でも勉強に適応する形である程度矯正できると思います。反面、思考の癖は個性でもあるので、学校の勉強に適応するためにその子の独創性を失わせてはいけないとも思うのです。顧客ニーズというか、社会の要請というか、多くの子どもや親が「学校や受験に順応した考え方」を所望しています。それを教えることもできますし、そうでないことを伸ばすこともできます。

 Rさんとは、勉強以外にも色々な話をします。最終的には、Rさんの人生に効く思考法を、自分で獲得してほしいと願いながら活動をしています。教育は、本当に奥深い仕事です。